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過敏性腸症候群
新板橋クリニック

過敏性腸症候群
Version 2012.4


下記のことで、「苦しい」「つらい」「なんとかならないか?」と悩んでおられませんか?

 おなかがはってぱんぱんになる
 おなかが苦しい
 ガスがもれる
 げっぷが多い
 おならが多い
 便のにおいが気になる
 おなかがごろごろする
 緊張するとおなかが痛くなる
 緊張すると便にいきたくなる
 便がすっきりでない、いつも残った感じがする
 便にいきたい、いきたい感じがして何度もトイレにいく
 外出するとトイレにいきたくなる
 安心して電車にのれない

過敏性腸症候群かもしれません。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:通称 IBS)は、小腸や大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称です。検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こります。
□ 症状による分類
症状は主に便通の異常です。症状の現れ方によって、不安定型、慢性下痢型、分泌型、ガス型の4つに分けられます。排便に伴い、症状が軽快したりぶり返したりを繰り返します。
不安定型 :
腹痛および腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます

慢性下痢型 :
ストレスや不安を感じると腸管運動が亢進し、腹痛と下痢がおこります。

分泌型 :
強い腹痛の後、大量の粘液が排泄されます

ガス型 :
ストレスや不安などでおなかにガスがたまる症状。

しかし、表層レベルに顕在化した症状は、「何か」が原因として生じた身体の反応・身体のくせを観察しているにすぎません。症状による分類では、根治的な治療はおこなえません。症状をおこしている「何か」を明らかにすることで、より根治的な治療が可能になります。

□ より根源的なアプローチ

検査を行なって、胃の病気、胃外の病気が認められないにも関わらず症状が出現するため、現代科学(西洋医学)では、症状がおこる理由を明確に説明できません。しかし、状況証拠からある程度のことがわかってきました。

それは、

 「何か」が症状を引き起こしている
 感情(怒りや不安、緊張など)で症状が出現あるいは強くなる
 過去のトラウマ、事件などで、一つの価値観・基準・評価が固定化され、それによって、強い感情(不安・緊張など)が誘起され、さらに、身体の反応・症状が起こっている

ということです。

一方、東洋医学では、過敏性腸症候群症状が2000年以上前から知られており、症状の起こる理由が明確に説明されています。

 何かとは「気」そして「血」である
 「気」や「血」がうっ滞、充満している
 感情(怒り、不安、緊張など)が、気の流れの異常を引き起こす

緊張・不安・怒りなどの感情を引き起こす「脳のくせ」が、身体のくせ・反応を引き起こすことが観察されています。「気」や「血」がうっ滞し、充満すると、身体の感覚は、「何か」がつまっていると感じて、症状が出現します。あるいは、緊張によって身体の感覚は、内臓がこわばるように感じて、症状が出現します。

そこで、現代科学と東洋科学を融合させて、過敏性腸症候群の原因を解説すると、


 過去のトラウマ、事件などで、一つの価値観・基準・評価が固定化され、それによって、強い感情(不安・緊張など)が誘起される「脳のくせ」ができる
 「脳のくせ」は、無意識化される
 類似の環境と接すると、無意識に脳のくせがでて、それが、感情をひきおこす

そして、
 感情は、身体の反応・症状を引き起こす

そして、

 「気」がうっ滞・充満する
 「気」が腹部に充満し、緊張状態が加味されて、腹部症状が出現する

つまり、脳のくせが、感情のくせとなり、そして、身体のくせ、症状というように、無意識につながっていく、くせの回路ができあがります。




□ 根源的な分類

暴飲・暴食型(満たされない自分を食欲で満たす型)
緊張型
気滞型
怒り型
忍型
お血型

「脳のくせ」や「身体のくせ」でタイプを分類していきます。そして、当事者本人が、自分を観察して、くせに気づいていき、自分自身で自分のくせの型に名前をつけることが重要です。


□ 症状はさまざまです

「気」が、腹部に充満して、緊張状態であることで症状がおこります。

 おなかがはってぱんぱんになる
 おなかが苦しい
 ガスがもれる
 げっぷが多い
 おならが多い
 便のにおいが気になる
 おなかがごろごろする
 緊張するとおなかが痛くなる
 緊張すると便にいきたくなる
 便がすっきりでない、いつも残った感じがする
 便にいきたい、いきたい感じがして何度もトイレにいく
 外出するとトイレにいきたくなる
 安心して電車にのれない



□ 過敏性腸症候群の治療

タイプわけに応じて治療を選択していきます。タイプとは、脳のくせ、大脳皮質の疲労の程度、緊張のあるなし、「気」の流れの程度、怒り型、忍型などを明確化することです。タイプ分けをせずに、治療をしても症状の改善が十分に得られません。


(1) 薬物療法

① 漢方製剤(主体となります)
② 安定剤(時に必要となります)
③ 腸管運動を抑制する薬剤
④ 消化酵素剤
⑤ 止痢薬

(2) 大脳皮質を疲労させない

大脳皮質の疲労を避けることが必要です。VDT関連の仕事の方は、1時間に1回休憩をとること、画面から眼を離すこと、席をたつこと、身体を動かすこと、体操することが必要です。なぜなら、身体を動かして、体の感覚に気を配ることは、旧皮質(古い脳)を使ってやり、大脳皮質が休息をとることができるからです。

(3) 「脳のくせ」に気づく
脳のくせに気づくことで、無意識におこる反応が改善していきます。

脳のくせは、常に
部分だけをとるくせ(全体をみようとしません)
違いだけをとるくせ(共通部分をみようとしません)
過去とつなげるくせ(部分と部分をつなぎ合わせて意味づけします)

をしています。そして、判断基準、価値基準を作って、比較・評価をするので、緊張・不安・怒りなどの感情を無意識に行うようになります。無意識でおこなっている脳のくせに気づくことで、無意識の反応がなくなっていきます。

(4) 大脳皮質を休息させる体操
人は、いろいろなことを一生懸命大脳皮質を使って考えています。これは「非現実」です。一方身体の感覚は、「現実」です。現実の時間を増やすことで、大脳皮質の疲労を減らすことができます。身体の感覚を感じる体操をすることが有効です。

(5) 身体の感覚・反応・くせに気づく
脳のくせから、さまざまな身体のくせが起こっています。自分の身体を観察して気づいていきます。

□ まとめ

身体におこっている反応・症状・くせを、漢方治療を中心にして改善しながら、「身体のくせ」そして、「脳のくせ」に気づいていき、無意識下で誘起されるくせの回路をほどいていきます。くせをほどいていくことで、調和のとれた、正しい結び方に修正され、症状が出現しなくなっていきます。

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テーマ:健康 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

機能性胃腸症
新板橋クリニック

●機能性胃腸症とは?

Version 2012.4


下記のことで、「苦しい」「つらい」「なんとかならないか?」と悩んでおられませんか?

 むかむか気持ち悪い
 食欲がない
 胃がもたれる
 背中が痛くなる
 胃がはって苦しい
 胃がきりきり痛くなる
 おなかがはってぱんぱんになる

機能性胃腸症かもしれません。

● 機能性胃腸症

胃部症状(胃痛、胃もたれ、消化不良、背部痛、胃がはるなどの症状)がある方は多いと思います。上記の症状が続いていてなかなか治らない場合、胃の病気あるいは胃外の病気を心配され不安になると思います。胃の病気では、潰瘍やピロリ菌関連胃炎、胃がんが代表です。また胃外の病変では膵臓がん、胆石、膵炎などが代表です。内視鏡検査や超音波検査、採血検査を行い原因を調べます。しかし、実際に病気が発見される方は半数程度で、残りの半分の方では検査で異常が発見されません。そのため、病気が発見されない方では、神経性胃炎やストレス性胃炎などと診断されてきました。
最近になって、検査で胃に異常がなく、胃部症状を訴える方では、胃の消化機能の低下、胃から食物を排泄する機能の低下、食事をして胃が拡張したときの胃壁の過敏性の増加(胃の壁が伸ばされると苦痛を感じる)、胃粘膜の過敏性の増加などが指摘されるようになりました。そこで、検査で胃に異常がないにも関わらず胃部症状を訴える方を機能性胃腸症と呼ぶようになってきました。
機能性胃腸症の方では、胃部症状以外に排便異常(便秘や下痢)など腸の異常を訴える方もいらっしゃるため、胃と腸に連なる機能の異常と考えるようになりました。

□ なぜ症状がおこるのでしょう?

検査を行なって、胃の病気、胃外の病気が認められないにも関わらず症状が出現するため、現代科学(西洋医学)では、症状がおこる理由を明確に説明できません。しかし、状況証拠と脳科学の進歩である程度のことがわかってきました。

それは、
 「何か」が症状を引き起こしている
 頭脳労働者に多い
 特に、VDT作業者(パソコンを使って仕事をする人)
 頭であれこれ考えるくせの人
 感情(怒りや不安、緊張など)で症状が出現あるいは強くなる

ということです。

脳科学的に説明できることは、大脳皮質(新皮質)を酷使すると、脳細胞が疲れてしまうことです。そして、脳内物質(セロトニンやメラトニンなど)が枯渇してきます。大脳皮質の使いすぎは、更に交感神経の緊張を引きおこします。脳細胞の酷使・疲労、脳内物質の枯渇、交換神経の緊張で、機能性胃腸症が引き起こされることがわかってきました。

一方、東洋医学では、機能性胃腸症状が2000年以上前から知られており、症状の起こる理由が明確に説明されています。

 何かとは「気」である
 「気」がうっ滞、逆流している
 「気」の流れを司る器官(肝)が不調である

緊張・不安・怒りなどの感情を引き起こす「脳のくせ」が、身体のくせ・反応を引き起こすことが観察されています。「気」がうっ滞し、逆流すると、身体の感覚は、何かが逆流すると感じて、症状が出現します。「気」のうっ滞・逆流は、臍の上でおこることが観察されており、インドではチャクラ、中国では、経絡秘孔でしられています。

そこで、現代科学と東洋科学を融合させて、機能性胃腸症の原因を解説すると、

 VDT(パソコン関係)の仕事を長時間するため大脳皮質(脳細胞)が疲労する
 緊張・不安・怒りなど「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する
 あれこれ頭で考えて、考えていることがとまらない「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する

そして、
 大脳皮質が疲労すると、脳内物質が枯渇してくる

そして、
 交感神経が過緊張する

そして、
 「気」が臍の上でうっ滞する
 怒りの感情、あるいは耐え忍ぶ感情が蓄積する
 「気」の流れを調和する「肝」が疲弊する
 「気」が上腹部に充満し、緊張状態が加味されて、腹部症状、胃痛症状、背部痛が出現する

という理屈になります。

□ 症状はさまざまです

「気」が、上腹部に充満して、緊張状態であることで症状がおこります。

 おなかがはる
 胃がもたれる
 胃がはる
 胃が苦しい
 気持ちわるい
 あがってくる感じがする
 おなかが膨れて苦しい
 背中が痛い

□ 機能性胃腸症は胃酸分泌抑制薬だけではよくなりません

機能性胃腸症では、胃酸の分泌を減らす薬では症状が改善しない例がほとんどです。なぜなら、胃酸が原因ではないからです。そのため、「気」のうっ滞・近状・充満を改善する治療を行います。


□ 機能性胃腸症の治療

タイプわけに応じて治療を選択していきます。タイプとは、脳のくせ、大脳皮質の疲労の程度、緊張のあるなし、「気」の流れの程度、怒り型、忍型などを明確化することです。タイプ分けをせずに、治療をしても症状の改善が十分に得られません。


(1) 薬物療法

① 胃酸分泌抑制剤
② 胃機能改善薬
③ 消化酵素剤
④ 制吐剤
⑤ 胃粘膜防御剤
⑥ 漢方製剤(主体となります)
⑦ 安定剤(時に必要となります)

(2) 大脳皮質を疲労させない

大脳皮質の疲労を避けることが必要です。VDT関連の仕事の方は、1時間に1回休憩をとること、画面から眼を離すこと、席をたつこと、身体を動かすこと、体操することが必要です。なぜなら、身体を動かして、体の感覚に気を配ることは、旧皮質(古い脳)を使ってやり、大脳皮質が休息をとることができるからです。

(3) 「脳のくせ」に気づく
脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労を少なくすることができます。
脳のくせは、常に
部分だけをとるくせ(全体をみようとしません)
違いだけをとるくせ(共通部分をみようとしません)
過去とつなげるくせ(都合のいい部分をつなぎ合わせて意味づけします)

をしています。そして、判断基準、価値基準を作って、比較・評価をするので、緊張・不安・怒りなどの感情を無意識に行うようになります。無意識でおこなっている脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労が少なくなります。

(4) 大脳皮質を休息させる体操
人は、いろいろなことを一生懸命大脳皮質を使って考えています。これは「非現実」です。一方身体の感覚は、「現実」です。現実の時間を増やすことで、大脳皮質の疲労を減らすことができます。身体の感覚を感じる体操をすることが有効です。

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テーマ:健康 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

胃・食道逆流症
新板橋クリニック消化器センター
胃・食道逆流症
Version 2012.4

下記のことで、「苦しい」「つらい」「なんとかならないか?」と悩んでおられませんか?

 げっぷが頻回にでる
 口の中がすっぱい
 舌がしびれている
 のどがひりひりする、いがいがする
 のどにつまった感じがしている
 食べ物がのどにつかえる
 胸が焼けるようにちりちり痛む
 胸が苦しくなる
 呼吸が苦しくなる
 すっぱいものがあがってくる
 背中が痛くなる
 胃がはって苦しい

胃・食道逆流症かもしれません。

胃・食道逆流症は、逆流性食道炎「食道炎型」と非食道炎「NERD(ナード)型」の2つのタイプに分かれます。そして、内視鏡検査でタイプわけ診断をして治療を行います。胃粘膜の委縮がないか?ピロリ菌感染がないか?食道裂孔ヘルニアがないか?内視鏡で見て食道炎がないか?咽頭・喉頭炎がないか?の確認を行います。

「食道炎型」は、喉頭炎があることが多く、食道裂孔ヘルニアがあり、そして、内視鏡で食道炎を認めます。患者は年齢的に40歳以上が多い傾向にあります。
一方、非食道炎(ナード型)は、喉頭炎を認めず、食道裂孔ヘルニアがなく、そして、内視鏡で食道炎を認めません。また萎縮性胃炎がなくピロリ菌感染がありません。



逆流性食道炎(食道炎型)


逆流性食道炎(食道炎型)は今注目されている病気です。近年食事の欧米化が進み増えてきました。胃酸が逆流して、食道の粘膜を傷つけることによって、「胸やけ」や、のどの違和感、酸っぱいものがあがってくる、げっぷなどの症状が出ます。

食道は胃酸を防御する機能がないために、胃酸の逆流が繰り返されると炎症が起きてしまいます。欧米では、成人の約40%が逆流性食道炎ではないかと言われています。日本でも成人の20%近くが逆流性食道炎ではないかと推測されています。「胸やけ」の症状を感じたときは、食道が炎症になっているかもしれませんので、早期に受診し治療を受けることをお勧めします。

□ 逆流性食道炎(食道炎型)とは

通常いくつかの原因が重なって、引き起こされます。

逆流性食道炎1


食道と胃のつなぎ目の部分は、食道下部括約筋と呼ばれる筋肉が弁の働きをして、胃の中のものが逆流しないようになっていますが、いろいろな原因で弁の働きが弱くなったり、加齢とともに弁の働きが弱くなったり、胃の手術などで逆流しやすい環境になってしまうことから逆流が起こります。弁の働きをしている穴を「食道裂孔」といい、裂孔がゆるむと胃の一部が食道の方へ持ち上がって、「食道裂孔ヘルニア」という状態になってしまい、さらに胃酸が逆流しやすい状態になってしまいます。

逆流性食道炎2


逆流性食道炎3


また胃炎や胃潰瘍などによって胃の働きが弱まり、食道へ逆流してきた胃酸を胃に戻せなくなって起こすこともあります。
近年、逆流性食道炎の方は増加してきていますが、その原因としてさまざまなことが挙げられています。

 胃酸の量が多い方(ピロリ菌保有者が減っており、胃酸の分泌量が多い方)が増えている
 外食が多く不規則な生活をする方が増えている
 食事が欧米化して、脂肪分が多い食事をするようになり胃酸分泌を刺激している
 食べすぎの方は胃内圧が上昇し、逆流しやすい
 姿勢が悪い(デスクワークの方)が増えている
 肥満が増えている
 タバコやアルコールがよくない
 腰が曲がってくの字になると胃が圧迫されて逆流しやすい
 ストレスがよくない
 睡眠時無呼吸の方はなりやすい
 夜遅い時間に、腹いっぱいの食事をするのがよくない

以上のことが原因となって、逆流性食道炎がおこるといわれています。上記がいくつも当てはまる方は、改善が必要です。

□ 症状はさまざまです
 胸やけ
 酸っぱいものが上がってくる
 胸がちりちり痛む
 げっぷがでる
 食べ物が胸につかえる
 のどがいがいがする
 声がかすれる
 咳がつづく
 吐き気
 胸の痛み(胸痛)
 背中の痛み
 血痰がでる

上記はすべて逆流性食道炎の症状です。のどから胸にかけて焼けるような症状、胸の痛みがある場合や、のどに酸っぱい水(胃酸)が上がってくることがあります。下を向いたときや、食べ過ぎた後や就寝後に症状が出るのも特徴です。ひどくなると、食べ物のつかえ感、胸痛や持続出血による貧血になることもあります。長く続く咳の原因が逆流性食道炎だったということもあります。
症状から逆流性食道炎が疑われたら、食道がんの有無、食道裂孔ヘルニアの有無、食道炎の程度を診断するために、内視鏡検査が必要です。

□ 逆流性食道炎の予防
胃内容物、胃酸の逆流をさせないことが一番の予防になります。生活習慣・食事習慣と関連しています。肥満をともなっている方の場合、最も有効な手段は、夜6時以降に食事をとらないこと、朝と昼の1日2食にすること、減量すること、になります。

 一度に食べ過ぎないこと
 消化の悪いもの(油こいもの・イモ類など)を食べすぎず、腹八分目を心がけましょう
 食後すぐに横にならず、就寝前の食事はとらないようにしましょう
 禁煙しましょう
 アルコール摂取をへらしましょう
 脂肪分の少ない食事を心がけましょう
 週2回以上の運動をして、内臓脂肪を減らし、肥満を解消することが大事です
 姿勢を良くしてすごしましょう
 ベルトやガードルで腹部を締め付けることは、できるだけさけましょう
 寝た後で症状の強くなる人は上体を高くして休むと良いでしょう


□ 逆流性食道炎の治療

薬物療法
胃酸分泌抑制薬が有効で、99%の方は、服薬することで症状が改善します。

(1) 胃酸の分泌を減らす薬
プロトンポンプ阻害剤(PPI)
ヒスタミン受容体拮抗剤(H2-blocker)

(2) 食道粘膜を保護する薬
マーロックス細粒
アルロイドG

(3)消化管運動改善薬
ガスモチン

(4) 漢方製剤

(5) 外科治療
薬物治療にて改善が見られない症例、逆流性食道炎の高度な例、狭窄をきたす例などは外科治療の適応になることがあります。

現在は効果的な薬が開発されています。早く治療を開始することが何よりも大切です。


非食道炎「NERD」(ナード型)



非食道炎(ナード型)は、喉頭炎を認めず、食道裂孔ヘルニアがなく、そして、内視鏡で食道炎を認めません。また萎縮性胃炎がなくピロリ菌感染がありません。内視鏡検査で異常を認めないにもかかわらず症状を認めることが特徴です。

20歳代から40歳代にかけて増加しており、また60歳以降の定年を迎えた方にも増加しています。

胃酸の逆流が認められないにも関わらず、症状が認められるため、治療に難渋するタイプです。通常の治療(胃酸分泌抑制薬など)では、症状が改善せず、また、さまざまな症状が出現して持続するため、「つらい」「苦しい」「なんとかならないか」と悩まれる方が多いタイプです。

□ なぜ症状がおこるのでしょう?

胃酸の逆流が認められないにも関わらず症状が出現するため、現代科学(西洋医学)では、症状がおこる理由を明確に説明できません。しかし、状況証拠と脳科学の進歩である程度のことがわかってきました。
それは、
 胃酸以外のものが逆流している
 「何か」が逆流している
 頭脳労働者に多い
 特に、VDT作業者(パソコンを使って仕事をする人)
 頭であれこれ考えるくせの人
 比較基準・価値基準が固定され、認識する脳のくせの人

ということです。

脳科学的に説明できることは、大脳皮質(新皮質)を酷使すると、脳細胞が疲れてしまうことです。そして、脳内物質(セロトニンやメラトニンなど)が枯渇してきます。大脳皮質の使いすぎは、更に交感神経の緊張を引きおこします。脳細胞の酷使・疲労、脳内物質の枯渇、交換神経の緊張で、ナード型症状が起こってくることがわかってきました。

一方、東洋医学では、ナード型の症状が2000年以上前から知られており、症状の起こる理由が明確に説明されています。

 何かとは「気」である
 「気」がうっ滞、逆流している

緊張・不安・怒りなどの感情などをひき起こす「脳」の認識のくせが、身体のくせ・反応を引き起こすことが観察されています。「気」がうっ滞し、逆流すると、身体の感覚は、何かが逆流すると感じて、症状が出現します。「気」のうっ滞・逆流は、臍の上でおこることが観察されており、インドではチャクラ、中国では、経絡秘孔でしられています。

そこで、現代科学と東洋科学を融合させて、ナード型の症状の原因を解説すると、

 VDT(パソコン関係)の仕事を長時間するため大脳皮質(脳細胞)が疲労する
 固定化された観点・価値基準から、自分と他人を区別して、比較・評価することで、緊張・不安・怒りなどを生み出す「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する
 あれこれ頭で考えて、考えていることがとまらない、「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する

そして、
 大脳皮質が疲労すると、脳内物質が枯渇してくる

そして、
 交感神経が過緊張する

そして、
 「気」が臍の上でうっ滞・逆流する
 臍の上から胃、胸、のど、頭まで逆流する
 「気」の逆流を、感覚で感じるので、逆流症状がでてくる

という理屈になります。

□ 症状はさまざまです

「気」が、臍の上から頭にむかって、うっ滞・逆流するので、さまざまな症状を感じます。

 おなかがはる
 胃がもたれる
 胃がはる
 胃が苦しい
 気持ちわるい
 あがってくる感じがする
 胸やけ
 酸っぱいものが上がってくる
 胸がちりちり痛む
 げっぷがでる
 食べ物が胸につかえる
 胸が苦しい
 胸がちりちりする
 胸が痛い
 背中が痛い
 のどに何かがつまっている
 のどがきゅーーとしめられる
 のどがいがいがする
 声がかすれる
 血痰がでる
 夜眠れない
 頭痛
 頭がぼっとする

□ ナード型は胃酸分泌抑制薬ではよくなりません

ナード型では、胃酸の分泌を減らす薬では症状が改善しない例がほとんどです。なぜなら、胃酸が逆流しているのではないからです。そのため、「気」のうっ滞・逆流を改善する治療を行います。


□ ナード型の治療

(1) 薬物療法
(ア) 胃酸の分泌を減らす薬
プロトンポンプ阻害剤(PPI)
ヒスタミン受容体拮抗剤(H2-blocker)
(イ) 消化管運動改善薬
ガスモチン
(ウ) 漢方製剤(主体となります)
(エ) 安定剤(時に必要となります)

(2) 大脳皮質を疲労させない

大脳皮質の疲労を避けることが必要です。VDT関連の仕事の方は、1時間に1回休憩をとること、画面から眼を離すこと、席をたつこと、身体を動かすこと、体操することが必要です。なぜなら、身体を動かして、体の感覚に気を配ることは、旧皮質(古い脳)を使ってやり、大脳皮質が休息をとることができるからです。

(3) 脳のくせに気づく
脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労を少なくすることができます。
脳のくせは、常に
部分だけをとるくせ(全体をみようとしません)
違いだけをとるくせ(共通部分をみようとしません)
過去とつなげるくせ(都合のいい部分をつなぎ合わせて意味づけします)

をしています。そして、判断基準、価値基準を作って、比較・評価をするので、緊張・不安・怒りなどの感情を無意識に行うようになります。無意識でおこなっている脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労が少なくなります。

(4) 大脳皮質を休息させる体操
人は、いろいろなことを一生懸命大脳皮質を使って考えています。これは「非現実」です。一方身体の感覚は、「現実」です。現実の時間を増やすことで、大脳皮質の疲労を減らすことができます。身体の感覚を感じる体操をすることが有効です。

□ まとめ

漢方治療は、ナード型には非常に有効です。漢方治療を続けながら、大脳皮質を疲労させない習慣、練習をすると、ナード型は良くなっていきます。

新板橋クリニック消化器センター

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進行・再発胃がんの化学療法ガイド
手術不能進行・再発胃がんの化学療法
新板橋クリニック

手術不能進行・再発胃がんの化学療法
Version 2012.01


1 背景

手術不能あるいは転移・再発胃癌の患者では、症状緩和治療単独群の全生存期間の中央値は4か月程度、一方無作為化比較試験あるいはメタアナリシスでの検討では全身化学療法群の全生存期間の中央値は約8か月で、有意に生存が延長することが示されています。つまり、全身化学療法を受けることが推奨されます。

世界的に1st line治療として広くコンセンサスが得られている治療はありません。しかし、日本では2つの第III相無作為化比較臨床試験が発表されたことから、初回治療(1st line)の標準的療法としてTS-1単独治療あるいはTS-1+CDDP治療が推奨されます。

2 1st line (初回化学療法)

2-1 過去

POINT
●FU単独治療、FP(CF)療法などが日本では推奨されていました。
●エビデンスがない状態でTS-1を含んだ化学療法がおこなわれていました。

① 5-FU単独治療
JCOG9205の成績では、5-FU単独治療で奏効率は11.4%、50%生存期間は7.1ヶ月でした。一方、5-FU + CDDP (CF)療法は、奏効率は34.3%でしたが、50%生存期間は7.4ヶ月であり、5-FU単独治療と比較して生存期間の延長は認められませんでした。日本では、5-FU単独治療が、薬剤の効果を調べる比較試験の対象となっていました。

② 5-FU + CDDP (CF)療法
上記のごとく、JCOG9205では、奏効率では5-FU単独治療を上回っているものの、生存期間の延長は認められませんでした。一方、副作用は増加しています。米国では、標準的治療として行われています。

③ ECF
Epirubicin 50 mg/m2, cisplatin 60 mg/m2, infusional 5-FU 200 mg/m2は、EUでは、1st line治療として汎用されています。奏効率は45%、50%生存期間は8.9ヶ月と報告されています。

④ DCF: Phase III trial, V325試験
5-FU + CDDP + Docetaxelを併用した治療(DCF療法)がCF療法と比較され、奏効率はDCFが37%、CFが25%、腫瘍が増殖するまでの期間はDCFが5.6ヶ月、CFが3.7ヶ月、2年生存率がDCFは18%、CFは9%でした。全生存期間の中央値はDCFが9.2カ月、CFが8.6カ月でした。CF療法を始めて無作為化比較試験で上回った治療法の報告で、DCFは米国のFDAに承認され標準的治療として行われています。

2-2 現在

POINT
● TS-1単独治療が推奨される。
● TS-1+CDDP療法はTS-1単独治療を上回る治療効果が第III相臨床試験で報告されたことから、より推奨される。
● CDDP以外の化学療法薬(CPT-11やtaxaneなど)がTS-1を併用されていますが、その効果についての明確なエビデンスはまだありません。
● Her2陽性胃がん(Her2 2+/FISH陽性あるいはHER2 3+)では、herceptinを併用することが推奨されます。
● BVの上乗せ効果は否定されています。
● CDDPをoxaliplatinで置き換えることを考慮してもいい

日本では、TS-1が保険適応となっており、手術不能進行胃癌あるいは転移・再発胃癌に対してTS-1単独あるいはTS-1 + CDDP(あるいはCPT-11, taxanes)の併用投与が第1選択の治療として広く行われています。2007年のASCOにてTS-1単独治療あるいはTS-1+CDDP併用治療のエビデンスが報告され、今後ますます使用頻度が増すと考えられます。今後の課題は、2nd line以降あるいは、TS-1抵抗性となった症例に対しての治療法の開発になります。

2-2-1 TS-1を含んだ化学療法

(1) TS-1単独治療: JCOG 9912試験、ASCO 2009, abstract #4514
手術不能進行・再発胃がんに対して、初回治療として、5-FU単独治療、CPT-11 + CDDP療法(CP)、S-1単独治療の効果を比較する第III相無作為化比較臨床試験が行なわれました。5-FU単独治療を標準的治療として比較を行い、CP療法の優越性(5-FUより優れた治療であるかどうか)と、TS-1の非劣性(5-FUと比較して劣っていないか?つまり代替として使ってよいか?)が検討されました。
無増悪生存期間は、5-FU単独治療が、2.9ヶ月、CPT-11 + CDDP治療が4.8ヶ月(ハザード比が0.69, p値<0.001)、S-1単独治療が、4.2ヶ月(ハザード比が0.75, P値<0.0001)となり、2つの治療は5-FUと比較して有意に無増悪生存期間が延長していました。全生存期間の中央値は、5-FU単独が10.8ヶ月、CPT-11 + CDDPが12.3ヶ月(ハザード比は0.85、p値は0.05)、S-1単独が、11.4ヶ月(ハザード比は0.83、p値は非劣性として<0.001)となり、CPT-11 + CDDPの優越性は否定されました。S-1の非劣性は証明され、今後、初回治療として、5-FU単独治療と同様にS-1治療が推奨されることがわかりました。また、CPT-11 + CDDP治療は、病気の進行ではなく副作用のため投与を中止する例が30%程度存在するため、初回治療としては、推奨されないことが確認されました。

(2) TS-1 + CDDP療法: SPIRITS 試験
2007 ASCOにて報告されました。手術不能進行・再発胃癌に対して、初回治
療としてS-1単独治療とS-1+CDDP併用治療の効果を比較する第III相無作
為化比較臨床試験が行なわれ、S-1単独治療を標準的治療として、S-1 + CDDP
併用治療の優越性が検討されました。
無増悪生存期間は、S-1単独治療が、4ヶ月、S-1 + CDDP治療が6ヶ月(ハザード比が0.567, p値<0.001)となり、S-1 + CDDP併用治療はS-1単独治療と比較して有意に無増悪生存期間が延長していました。全生存期間の中央値は、S-1単独治療が11ヶ月、S-1 + CDDPが13ヶ月(ハザード比は0.774、p値は0.03)となり、S-1 + CDDP併用治療がS-1単独治療と比較して有意に2カ月間生存期間を延長させることがわかりました。2年生存率は、S-1単独治療が15.3%、S-1 + CDDP併用治療が23.6%でした。中間解析ではありますが、手術不能進行・再発胃癌の初回治療は、S-1 + CDDP治療が推奨されることがわかりました。

2007ASCOで日本から発表された2つの臨床試験の結果から、今後、初回治療は、S-1 + CDDPもしくは、S-1治療が推奨されることが明らかになりました。今まで、S-1を中心とした治療が臨床現場では、汎用されていましたが、エビデンスが作られたことになります。

(3) TS-1 + CPT-11: GC0301/TOP-002 2009 ASCO abstract #4544

2009 ASCOにてfollow upが報告されました。手術不能進行・再発胃がんを対象に、1st line (初回治療)としてTS-1 + CPT-11あるいはTS-1単独治療を比較する第III相無作為化比較臨床試験が行われました。
中間報告ですが、TS-1単独治療群160例、TS-1 + CPT-11併用治療群155例が解析され、奏功率は単独治療群が26.9%、併用治療群が41.5%で、併用治療群で奏功率が高かったものの(p=0.035)、腫瘍増殖までの期間(TTF)は単独治療群で3.6か月、併用治療群で4.5か月で優位差はありませんでした(p=0.1565)。また、生存期間の中央値(MST)は、単独治療群で10.5か月、併用治療群で12.8か月となり優位差はありませんでした(p=0.5361)。つまり、中間報告の段階では、TS-1 + CPT併用治療はTS-1と比較して優越性を証明できませんでした。
優位差を証明するには、症例数が少ないのではないか(underpower)、2nd line以降でTS-1を含むいろいろな治療が行われており、生存期間の解析に影響を与えているのではないか、follow up期間が短すぎるため生存期間に優位差がでないのではないか、などが現状での問題点とされ、follow upデータの結果が検討されましたが、結論に違いはないようです。

(4) TS-1を使用した他の併用化学療法
TS-1 + paclitaxel
TS-1 + docetaxel

OGSG0402試験:ASCO2010

進行胃がんに対して、初回治療(1st line)で、S-1+CPT-11療法とS-1+Paclitaxel療法を比較した無作為化第II相臨床試験が行われました。
対象は、組織学的に腺癌と診断された切除不能または測定可能病変のある再発胃がんで、補助化学療法以外の化学療法歴のない症例でした。

S-1+CPT-11群:S-1 80mg/m2/日、21日間投与、CPT-11 80mg/m2、1,15日目投与(5週間毎)
S-1+Paclitaxel群:S-1 80mg/m2/日、14日間投与、Paclitaxel 50mg/m2、1,8日目投与(3週間毎)

主要評価項目は奏功率、副次的評価項目は無増悪生存期間と全生存期間でした。S-1+CPT-11群51例、S-1+Paclitaxel群51例が登録され、奏功率は、37.3%と35.3%、無増悪生存期間の中央値は、173日と141日、全生存期間の中央値は、379日と364日でした。いずれも両群間で有意な差はありませんでした。
両群とも、期待奏功率の50%を下回っており、また、全生存期間は、S-1単独療法あるいはS-1+CDDP療法を上回る結果が出ていませんでした。

(5) SC-101試験:ASCO 2008#4533
中国で、進行胃がんに対する第III相無作為化比較臨床試験が行われており、その経過が報告された。手術不能進行・再発胃がんを対象に、TS-1単独治療群(S-1群)、TS-1+CDDP治療群(SP群)、FU+CDDP治療群(FP群)の3つの治療法の効果が比較検討されました。S-1単独群が77例、SP群が74例、FP群が73例で解析が行われ、奏功率はそれぞれ、24.7%、37.8%、19.2%となりSP群はFP群と比較して優位に奏功率が高くなりました(p=0.021)。治療が効かなくなるまでの期間は、S-1群、SP群、FP群でそれぞれ126日、159日、85日となりSP群はFP群と比較して優位に治療が効かなくなるまでの期間が延長していました(p<0.001)。全生存期間の中央値はS-1群、SP群、FP群で、それぞれ267日、433日、309日となりSP群では優位にS-1単独群より生存期間が延長していました(p<0.001)。

以上のことから、S-1+CDDP(SP)療法は、進行胃がんの初回治療としてアジアでは推奨されることがわかりました。

(6) FLAGS試験: JCO 28: 1547

Ajaniらが手術不能進行胃がんを対象に、TS-1+CDDP(CS)療法と5-FU+CDDP(CF)療法を比較する無作為化第III相臨床試験の結果を報告しました。

S-1 50 mg/m2, 2 x/day for 21 days
CDDP at 75 mg/m2 IV on day 1
Repeated every 28 days

Infusional FU at 1000 mg/m2/24 hrs for 120 hrs
CDDP at 100 mg/m2 IV on day 1
Repeated every 28 days

1053例の患者が登録され、1029例の患者がCF群(508例)とCS群(521例)で比較検討されました。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、安全性、奏功率などでした。CSのCFに対する「優越性」を検討することが目的でした。
胃がんの患者は、CS群で84.1%、CF群で82.1%、食道・胃境界がんは、CS群で15.7%、CF群で17.3%でした。

全生存期間の中央値は、CS群で8.6か月、CF群で7.9か月(HR=0.92, p=0.1983)、無増悪生存期間の中央値は、CS群で4.8か月、CF群で5.5か月(p=0.9158)、奏功率はCS群で29.1%、CF群で31.9%となりCS群はCF群と比較して優越性を証明できませんでした。2009 ASCOでは、非劣性解析の結果を報告し(unplanned)、CS療法はCF療法と比較して非劣性であると論じていました。また、びまん型の症例では、全生存期間の中央値はCS群で9.0か月、CF群で7.1か月となり、CS群で有意に延長が認められました(p=0.0413、HR=0.83)。

(7) TS-1 + oxaliplati: G-SOX療法: An of Oncol 2009

Oxaliplatin: 100 mg/m2 on day1
S-1 80 mg/m2 oral on days 1-14
Q3W

第2相臨床試験が報告されました。手術不能進行胃がん、あるいは転移・再発胃がんの患者55例が登録され、51例が解析されました。奏功率は59%、主要制御率は71%、全生存期間の中央値は16.5か月、無増悪生存期間の中央値は6.5か月、1年生存率は71%でした。

(8) TS-1+docetaxel vs S-1 alone: START試験

手術不能進行胃がんを対象に、TS-1+Docetaxel併用療法とS-1単独療法を比較する無作為化第III相臨床試験の結果が報告されました。

S-1:40mg/m2、BID、d1-14、Docetaxel:40mg/m2、d1、q3w
S-1単独:40mg/m2、d1-28、q6w

主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は無増悪生存期間、奏功率などでした。

639例が登録され、併用治療群が310例、単独治療が313例、割り付けされ治療を受けました。全生存期間の中央値は、併用治療群で390日、単独治療で334日となり、有意差はありませんでした(HR=0.88、p=0.1416)。併用治療群と単独治療で、1年生存率は52.5%と46%、2年生存率は23.7%と20.6%、3年生存率は13%と12.3%でした。

腫瘍が増悪するまでの期間は、併用治療群で161日、単独治療で126日となり、併用治療群で有意に延長していました(HR=0.74、p=0.0004)。

測定可能病変を有する症例の奏功率は、併用治療群で30.3%、単独治療で18.4%となり、有意に併用治療群で上回っていました(p=0.0004)。

サブセット解析では、測定可能病変を有さない進行胃がん例で全生存期間を検討すると、併用治療群は524日、単独治療は350日であり、併用治療群で有意に生存期間が延長していました。(HR=0.674、p=0.0389)。

上記の結果から、S-1+Docetaxelは、S-1単独治療と比較して優越性を証明できませんでした。


(9) TS-1治療のまとめ
日本ではTS-1を中心に治療が行われています。治療効果をまとめると

無増悪生存期間の中央値は、

JCOG9912ではTS-1単独は4.2ヵ月、
SPIRITS試験ではTS-1単独は4ヵ月、TS-1+CDDP(CS)は6ヵ月
GC0301では、TS-1単独は3.6ヶ月、TS-1+CPT-11は4.5ヶ月
START試験では、TS-1単独は126日(4ヶ月)、TS-1+Doceは161日(5.3ヶ月)

全生存期間の中央値は、

JCOG9912ではTS-1単独は11.4か月
SPIRITS試験ではTS-1単独は11ヵ月、TS-1+CDDP(CS)は13ヵ月
TOP-002では、TS-1単独は10.5か月、TS-1+CPT-11は12.8か月
STARTでは、TS-1単独は11.0か月、TS-1+Docetaxelは13.0か月

となります。
現状では、TS-1を含んだ化学療法を行うことで、無増悪生存期間は、4から6か月程度、全生存期間は12-13か月程度が見込まれます。


2-2-2 Capecitabineを含んだ化学療法

POINT
●EUではcapecitabineが胃がんに対する経口FU剤として認められています。
●capecitabine + CDDPあるいはcapecitabine + CDDP + epirubicinが欧州では標準的治療として行われています。
● HER2強陽性(Her2 2+かつFISH陽性あるいはHER2 3+)胃がんでは、capecitabine + CDDPにherceptinを併用することが推奨されます。
● BVの上乗せ効果は否定されています。

(1) 海外では、capecitabineは胃がんに対する主たる化学療法薬剤となってきました。2つの臨床試験では、手術不能進行胃癌あるいは転移・再発胃癌を対象に、カペシタビン単独の投与で、奏効率が34%あるいは19%と報告されています。

(2) REAL-2試験と呼ばれる第III相無作為化比較試験が行われました。英国で標準的治療とされるECF療法と比較して非劣性を証明するための試験でした。1002例の進行胃癌の患者を対象にして、ECF療法(epirubicin + cisplatin + infusional 5-FU)、ECF療法のうち5-FUをcapecitabine (625 mg/m2 twice daily)に置き換えた療法(ECX療法)、EOX療法(epirubicin + oxaliplatin + capecitabine)、EOF療法(epirubicin + oxaliplatin + infusional 5-FU)の4つの療法が比較されました。奏効率はECFで41%、EOFで42%、ECXで46%、EOXで48%でした。Capecitabineを含んだECXとEOX群では、5-FUを含んだECFとEOF群と比較して有意に全生存期間の延長が認められました。つまり、infusional 5-FUをcapecitabineに置き換えても、生存期間は劣らないことが証明されました。

(3) 別の、無作為化試験(これも非劣性試験です)では、XP療法(cisplatin + capecitabine)とFP療法( infusional 5-FU + cisplatin)が比較されました。無増悪生存期間(PFS)は、XP療法で5.6ヶ月、FP療法で5.0ヶ月、全生存期間はXP療法で10.5ヶ月、FP療法で9.3ヶ月でした。つまり、この臨床試験でも、infusional 5-FUをcapecitabineに置き換えても効果は劣らないことが証明されました。

以上の2つの臨床試験の結果から、欧州委員会はcapecitabineと白金系抗癌剤の併用療法を進行胃癌のfirst line治療として承認しました。

(4) Capecitabine + docetaxel
3つの第II相臨床試験(無作為化試験ではない)が行なわれ、奏効率は39、40、44%、無増悪生存期間は、4.2ヶ月から5ヶ月、全生存期間は、8.4ヶ月から12ヶ月と報告されています。

(5) 5-FU or capecitabine + cisplatin + herceptin: ToGA trial、ASCO 2009, abstract #4509
HER2陽性でかつ手術不能進行・再発胃がんあるいは胃・食道接合部がんに対して、初回治療として、化学療法単独群(C群)と化学療法とHerceptinを併用する群(C+H群)の効果を比較する第III相無作為化比較臨床試験が行なわれました。C群は5-FUあるいはcapecitabineにcisplatinを併用する治療で、この治療を標準的治療としてC+H群の優越性が比較検討されました。Herceptinは腫瘍の増悪までは投与され、主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は、無増悪生存期間、奏功率などでした。患者背景は、両群ともIntestinal typeが約75%、diffuse typeが約9%、mixed typeが約15%の比率で、アジア系が約50%、ヨーロッパ系が約30%の比率でした。胃切除後は約23%、胃がんは80%強、胃・食道接合部がんは20%弱、capecitabineの投与が87%程度でした。

Capecitabine: 1000mg/m2 bid day 1-14 q3W x 6
5-FU: 800 mg/m2/day continuous IV infusion day 1-5 q3W x 6
Cisplatin: 80 mg/m2 q3W x 6
Trastuzumab: 8 mg/kg loading dose followed by 6 mg/kg q3W until PD

3807例が登録され、HER2陽性は810例(22.1%)でした。810例中584例がC群(290例)とC+H群(294例)に振り分けられました。無増悪生存期間の中央値は、C群が、5.5ヶ月、C+H群が6.7ヶ月(ハザード比が0.71, p値???)となりました。全生存期間の中央値は、C群が11.1ヶ月、C+H群が13.8ヶ月(ハザード比は0.74、p値は0.0046)となり、C+H群の優越性が証明されました。奏功率はC群が34.5%、C+H群は47.3%でした。また、特にHER2 2+/FISH陽性あるいはHER2 3+では、全生存期間の中央値は、C群で11.8カ月、C+H群で16.0カ月(ハザード比0.65、p値???)となり、いわゆるHER2強陽性でHerceptinの併用効果が高いことがわかりました。

(6) capecitabine + cisplatin + bevacizumab: AVAGAST trial、JCO 29:3968

手術不能進行・再発胃がんあるいは胃・食道接合部がんに対して、初回治療として、化学療法単独群(C群)と化学療法とbevacizumab (BV)を併用する群(C+B群)の効果を比較する第III相無作為化比較臨床試験が行なわれました。C群はcapecitabineにcisplatinを併用する治療で、この治療を標準的治療としてC + B群の優越性が比較検討されました。Bevacizumabは腫瘍の増悪までは投与され、主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は、無増悪生存期間、奏功率などでした。

774例が登録され、C群は387例、C+B群は387例、アジア、欧州、北中南米がそれぞれ49%、32%、19%でした。 患者背景は、両群ともIntestinal typeが約75%、diffuse typeが約9%、mixed typeが約15%の比率で、アジア系が約50%、ヨーロッパ系が約30%の比率でした。胃切除後は約23%、胃がんは80%強、胃・食道接合部がんは20%弱、capecitabineの投与が87%程度でした。

Capecitabine: 1000mg/m2 bid day 1-14 q3W until PD
Cisplatin: 80 mg/m2 day1 q3W maximum x 6
Bevacizumab: 7.5 mg/kg q3W until PD

774例が登録され、C群は387例とC+B群387例に振り分けられました。無増悪生存期間の中央値は、C群が、5.3ヶ月、C+B群が6.7ヶ月(ハザード比が0.80, p=0.0037)となりました。全生存期間の中央値は、C群が10.1ヶ月、C+B 群が12.1ヶ月(ハザード比は0.87、p値は0.1002)となりました。奏功率はC群が37.4%、C+B群は46%(p=0.0315)でした。無増悪生存期間と奏功率ではC+B群が有意に優れていました。しかし、主要評価項目の全生存期間では、C群とC+B 群で有意差がなく、優越性は証明できませんでした。
サブグループ解析で、2次治療についてみてみると、アジアでは66%、欧州では31%、北中南米では21%が2次治療を受けていました。全生存期間も、BVの併用をすることで、欧州や北中南米では上乗せが高く、アジアでは低い傾向になりました。

2-2-3 他の薬剤

(1) Taxanes (paclitaxel or docetaxel)
単剤での奏効率は15から24%程度と報告されています。TS-1や5’-DFURなどの薬剤との併用療法が試みられています。
日本では、第1選択のTS-1-based chemotherapy、第2選択のCPT-11 + CDDP療法についで、第3選択でtaxanesの単独投与が報告されています。

(2) CPT-11 (irinotecan)
単剤での効果は、16から23%程度と報告されています。TS-1との併用やCDDPとの併用が試みられています。

(3) CPT-11 + CDDP
海外では、CPT-11(65 mg/m2)とCDDP (30 mg/m2)を毎週投与し、4週連続投与したら2週間投与を休止するサイクルの治療を行い、38例の手術不能あるいは転移・再発胃癌の患者で、奏効率は58%、50%生存期間は9ヶ月と報告されています。
日本では、CPT-11 (80 mg/m2)を2週間に1回投与、CDDP (80 mg/m2)を4週間に1回投与する併用療法が行なわれ、奏効率は約50%と報告されました。
CPT-11 + CDDP併用療法は、TS-1-based chemotherapyが第1選択として行なわれた後の、第2選択として日本では広く行なわれています。

JCOG9912: Lancet Oncol 2009; 10: 1063
手術不能進行・再発胃癌を対象に、S-1単独治療と5-FU治療とCPT-11 + CDDP治療の3つの治療法を比較をする無作為化第III相比較臨床試験(JCOG 9912)が報告されました。5日間の持続静脈注入5-FU療法(800 mg/m2、day 1-5、4週間1サイクル)群が234例、S-1単独(80mg/m2/day, day 1-28、6週間1サイクル)群234例、CPT-11 + CDDP療法(CPT-11; 70mg/m2 on days 1 and 15, CDDP; 80mg/m2 on day 1、4週間1サイクル)群236例が登録されました。プライマリーエンドポイントは全生存期間でした。trailの目的は、CPT-11+CDDPの5-FUに対する優越性、S-1の5-FUに対する非劣性を証明することでした。
全生存期間の中央値は、5-FU群で10.8カ月、CPT-11+CDDP群で12.3カ月(HR=0.85, 95% CI 0.70-1.04, p=0.0552)、S-1単独群で11.4カ月(HR=0.83 , 95% CI 0.68-1.01, p=0.0005)でした。S-1が5-FUに対して非劣性(劣っていないこと)であることが証明されました。しかし、CPT-11+CDDPが5-FUと比較して優越性(勝っていること)は証明されませんでした。
治療に抵抗性を示すまでの期間(time to treatment failure: TTF)は、5-FU群で2.3カ月、CPT-11+CDDP群で3.7カ月(HR=0.85, p=0.0430)、S-1単独群で4.0カ月(HR=0.73, p=0.0004)でした。
無増悪生存期間の中央値は、5-FU群で2.9カ月、CPT-11+CDDP群で4.8カ月(HR=0.69, p<0.0001)、S-1単独群で4.2カ月(HR=0.77, p=0.0027)でした。
CPT-11+CDDPは初回治療では、5-FU単独治療に対して、優越性が証明できず、生存期間の有意な延長は認められませんでした。しかし、奏効率は38%認められたことから、標的病変を有する症例やbulky mass(大きな腫瘍)を形成する転移巣に対しては、CPT-11 + CDDP治療は初回治療として考慮してもいいと考えられます。また、diffuse type(低分化腺がんや未分化型腺がん)では、CPT-11+CDDPの治療成績が良好な傾向が認められました。

TS-1ベースの初回治療が無効となった際の2次治療としての、CPT-11 + CDDP治療の優越性を示す臨床試験の結果がまたれます。

(4) FOLFIRI: V306試験

手術不能進行・再発胃がんにたいして、CDDP+FU(CF)療法とFOLFIRI療法を比較する第III相無作為化比較臨床試験が報告されました。FOLFIRI療法群(170例)、CF療法群163例で、無増悪期間は5.0ヶ月と4.2ヶ月、奏効率は31.8%と25.8%、生存期間の中央値は9.0ヶ月と8.7ヶ月となり、FOLFIRI療法がCF療法に対して非劣性(同等であること)が証明されました。
EUでは、FOLFIRI療法が好んで使われるようになってきています。


(5) 5’-DFUR + weekly paclitaxel
TS-1抵抗性の進行再発胃癌に対して、5’-DFUR 600 mg/body/dayで3週間連続投与1週間休止、paclitaxel 70 mg/m2をday 7, 14, 21に投与する併用療法が施行され、2nd line治療として、奏効率は24%と報告されています。
別の報告では、TS-1抵抗性の進行・再発胃癌を対象に、5’-DFUR 600 mg/m2を2週間連続で服用、pacliaxelを80 mg/m2でday 1, 8に投与する併用療法で、奏効率は18.2%、無増悪生存期間(PFS)は119日、生存期間の中央値(MST)は321日でした。

(6) 5’-DFUR + docetaxel
Paclitaxelと同様な成績が報告されています。無作為化比較臨床試験がなされていません。



2-3 腹膜播種性転移

POINT
●腹腔内に留置カテーテルを挿入して薬剤を注入する方法があります。
●温熱療法あるいは温熱化学療法が考慮されます。
●taxane系薬剤が考慮されます。

腹腔内に留置カテーテルを挿入し、繰り返し化学療法を行うことが以前より行われています。明確なエビデンスはありませんが、オプションの治療として考慮されます。近年はtaxane系薬剤が投与されています。

(1) Taxane系薬剤: ASCO 2009 abstract # 4542
腹膜播種性転移を認める手術不能進行胃がん患者を対象にして第2相臨床試験が行われました。S-1 80 mg/m2を2週間投与、paclitaxel (PTX)を20mg/m2にてday 1と8に腹腔内注入、同日にPTX 50 mg/m2を静脈内投与する方法が行われました。40例の患者が登録され、組織学的にdiffuse typeが70%、intestinal typeが30%でした。1年生存率は78%、2年生存率は46%、全生存期間の中央値は22.5か月と報告されました。

(2)JCOG0407試験:ASCO2010 #4052

1次治療で5−FU系ベースの化学療法が施行され、抵抗性を示した手術不能進行胃がん腹膜転移例を対象として、2次治療で5−FU 療法とWeekly Paclitaxel療法を比較する無作為化第II相臨床試験が行われました。主要評価項目は、全生存期間でした。

5−FU療法(A群)は、持続静注療法:5−FU 800mg/m2/day day 1-5 every 4 weekまたは、5−FU /MTX時間差療法が施行されました。一方Weekly Paclitaxel療法(B群)は、Paclitaxel 80mg/m2/day day 1, 8, 15 every 4 weekでした。

A群は49例、B群51例が登録され、前治療でS-1が投与されていた症例は、それぞれ33例と32例、未分化型腺癌が44例と44例、腹水を有する症例は、40例と44例でした。

全生存期間の中央値は、A群で7.7ヶ月、B群で7.7ヶ月(HR= 0.887)、無増悪生存期間の中央値は、A群で2.4ヶ月、B群で3.7ヶ月(HR= 0.568、p=0.004)でした。3次治療以降で、A群の67.3%がWeekly Paclitaxelを施行されていました。

以上から、1次治療で5−FU系薬剤を投与されて抵抗性を示した胃がん腹膜転移例では、2次治療でWeekly Paclitaxelが有望な治療である可能性がわかりました。


3 2次治療以降

POINT

 1次治療に抵抗性を示した後、有効性が証明された2次治療は今のところありません。

 1次治療で5−FU系薬剤の投与特にS-1、S-1+CDDP療法が行われた後の、2次治療では、S-1、Paclitaxel、CPT-11などの薬剤が使用される。

 1次治療でS-1を投与した場合、2次治療以降でもS-1を使用するべきかどうか(5−FU Beyond Progression)については議論があります。

 2次治療を行うことで、BSCと比較して有意に生存期間が延長することが報告されています

(1)JCOG0407試験:ASCO2010 #4052

1次治療で5−FU系ベースの化学療法が施行され、抵抗性を示した手術不能進行胃がん腹膜転移例を対象として、2次治療で5−FU 療法とWeekly Paclitaxel療法を比較する無作為化第II相臨床試験が行われました。主要評価項目は、全生存期間でした。

5−FU療法(A群)は、持続静注療法:5−FU 800mg/m2/day day 1-5 every 4 weekまたは、5−FU /MTX時間差療法が施行されました。一方Weekly Paclitaxel療法(B群)は、Paclitaxel 80mg/m2/day day 1, 8, 15 every 4 weekでした。

A群は49例、B群51例が登録され、前治療でS-1が投与されていた症例は、それぞれ33例と32例、未分化型腺癌が44例と44例、腹水を有する症例は、40例と44例でした。

全生存期間の中央値は、A群で7.7ヶ月、B群で7.7ヶ月(HR= 0.887)、無増悪生存期間の中央値は、A群で2.4ヶ月、B群で3.7ヶ月(HR= 0.568、p=0.004)でした。3次治療以降で、A群の67.3%がWeekly Paclitaxelを施行されていました。

以上から、1次治療で5−FU系薬剤を投与されて抵抗性を示した胃がん腹膜転移例では、2次治療でWeekly Paclitaxelが有望な治療である可能性がわかりました。

(2) 2nd line+BSC vs BSC:ASCO2011

1次治療でFU製剤およびプラチナ系薬剤を含むレジメを受けた進行胃がんを対象に、2次治療を行うか、BSCを行い、2次治療の有用性を検討する第III相臨床試験が行われました。

進行胃がんで、初回治療でFU製剤およびプラチナ系製剤を含むレジメを受けた後、化学療法群あるいはBSC群に振り分けられました。主要評価項目は、全生存期間でした。

2次化学療法群は128例、BSC群は65例が登録され、化学療法の内訳は、CPT-11が62例、Docetaxelが66例でした。

全生存期間は、2次化学療法群が5.1ヶ月、BSC群が3.8ヶ月となり、有意に化学療法群で延長しました(p=0.009)。

この臨床試験からは、2次化学療法を施行することで、BSCと比較して有意に全生存期間が延長することがわかりました。

4 手術前・術後化学療法(Perioperative Chemotherapy)

(1) FENCLCC and FFCD Phase III trial, JCO 29:1715

病理学的に腺癌と確認された、手術可能な下部食道がん、胃・食道接合部がん、噴門部がんを対象に臨床試験がおこなわれました。目的は、手術前・術後化学療法を施行することで、手術単独より全生存期間が延長するかどうかを検討することでした。
化学療法は、
術前にCisplatin 100 mg/m2 day 1, FU 800 mg/m2 for 5 days(28日毎)
2−3サイクル施行し、術後、同様のレジメを3-4サイクル施行する治療でした。

主要評価項目は、全生存期間でした。

224例の患者が登録され、術前・術後化学療法群(C+S群)113例、手術単独群111例に振り分けられました。C+S群は、113例が術前化学療法を施行され、実際に手術を受けた症例は109例で、術後化学療法を受けた症例は、54例でした。S群は111例が登録され、実際に手術を受けた症例は110例でした。

噴門部胃がんは、両群とも全体の約25%で、接合部がんが62-67%、食道がんが9-13%でした。C+S群では、113例中54例のみが術後化学療法を施行されました。

約5.7年の観察期間での解析では、5年生存率はC+S群は38%、S群は24%となり、C+S群で有意に生存期間が延長しました(HR=0.69、p=0.02)。5年無病生存率は、C+S群で34%、S群で19%となり、C+S群で有意に無病生存期間が延長しました(HR= 0.65、p=0.003)。

多変量解析では、生存期間に有意に影響を与える因子は、術前・術後化学療法、噴門部胃がんでした。また、術前化学療法はR0切除率を向上しました。

上記のことから、病理学的に腺癌と確認された、下部食道がん、接合部がん、噴門部胃がんでは、術前・術後化学療法が、全生存期間、無病生存期間、そしてR0切除率を向上することが示されました。

(3) Magic trial (ASCO 2005 abstract #4001)

切除可能なstage II以上の胃がんあるいは下部1/3の食道腺がんを対象にして、手術単独群(S群)と術前化学療法を試行後、手術を施行し、術後に再度化学療法を行う群(S+C群)で、成績を比較検討する臨床試験が行われました。化学療法はヨーロッパで標準的に施行されているECF療法(epirubicin: 50mg/m2 IV bolus day 1, cisplatin: 60 mg/m2 4-hr infusion day 1, 5-FU: 200 mg/m2/day continuous infusion day 1-21, q3W)で、術前に3サイクル、術後に3サイクル行うプロトコールでした。主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無再発生存、治癒切除率などでした。503例が登録され、S+C群250例、S群253例に振り分けられました。胃がんは全体の70%強でした。S群は253例のうち240例に手術が施行され、S+C群では250例中237例が術前に化学療法を施行され、215例(86%)が3サイクルの化学療法を終了しました。250例中219例に手術が施行されました。219例中137例(55%)のみが術後に化学療法を試行され、104例(42%)が3サイクルの化学療法を終了しました。S+C群のプロトコール完遂率はわずか42%でした。
全生存期間の中央値は、S群で20か月、S+C群で24か月となり、S+C群で有意に生存期間が延長していました(HR=0.75, p=0.009)。5年生存率はS群で23%、S+C群で36%でした。
術前・術後に化学療法を行うことで手術単独と比較して生存期間の改善が得られる報告ですが、化学療法のプロトコール完遂率が低いこと、手術後の合併症や死亡率が高いことから手術の質が担保されていないこと、5年生存率が日本と比較してあまりに低いことなど、単純に日本が参考にできる報告ではありません。
日本で主流のTS-1を基本としたプロトコールで、術前・術後化学療法の評価をする必要があります。術後化学療法は、補助療法の項を参照。





新板橋クリニック

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胃癌治癒切除後の補助化学療法
治癒切除後の補助化学療法

新板橋クリニック

治癒切除後の補助化学療法
Version 2012.01

POINT
Stage II, Stage IIIA, Stage IIIBの場合、術後の再発予防として補助化学療法が推奨されます。

TS-1
UFT
Capecitabine

1. TS-1

Stage II/stage III胃癌では、手術単独治療と比較して、手術後にTS-1を1年間服用することで、死亡リスクが32%減少させることが、ACTS-GCで確認されました。

ATCS-GC studyでは、治癒切除を受けたstage II/stage III胃癌を対象に、TS-1を術後に投与することで、手術単独よりどの程度再発死亡が減少するかが検討されました。stage II, IIIで胃がん手術を受けた1059人の患者を対象に臨床試験が行なわれ、手術のみの群(530例)と手術後TS-1を1年間服用(80-120 mg/日を4週間投与、2週間休薬を繰り返す)する群(529例)に無作為に割り付け、全生存期間などが比較検討されました(ITT)。登録終了後1年経過後の中間解析では、TS-1群では、手術単独群と比較して、死亡リスクが32%減少することが明らかになりました。中間解析時の、手術後3年の全生存率は手術単独群で70.1%、TS-1投与群で80.1%でした(HR= 0.68 ,p=0.0024)。手術後3年の無再発生存率は、手術単独群で59.6%、TS-1投与群で72.2%でした(再発リスクを38%減少、HR= 0.62)。

JCO29:4387で報告された結果では、手術単独群とTS-1群を比較すると、手術後5年無再発生存率は、それぞれ53.1%と65.4%でした(再発リスクを35%低下、HR= 0.653)。手術後5年の全生存率はそれぞれ61.1%と71.7%でした(死亡リスクを33%低下、HR= 0.669)。

サブセット解析では、stage IIでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で82.1%、TS-1投与群で90.7%(死亡リスクを41%減少)でした。そして、手術後5年の全生存率は、手術単独群で71.3%、TS-1投与群で84.2%(死亡リスクを49%減少、HR=0.509 )でした。手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で64.4%、TS-1投与群で79.2%(再発リスクを48%減少、HR=0.521)でした。

Stage IIIAでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で62%、TS-1投与群で77.4%(死亡リスクを34%減少)、手術後5年の全生存率は、手術単独群で57.3%、TS-1投与群で67.1%(死亡リスクを29%減少、HR=0.708)でした。そして、手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で50.0%、TS-1投与群で61.4%(再発リスクを30%減少、HR=0.696)でした。

stage IIIBでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で62%、TS-1投与群で77.4%(死亡リスクを34%減少)、手術後5年の全生存率は、手術単独群で44.1%、TS-1投与群で50.2%(死亡リスクを21%減少、HR=0.791)でした。そして、手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で34.4%、TS-1投与群で37.6%(再発リスクを21%減少、HR=0.788)でした。

Stage II/stage IIIAでは有意に死亡リスクが減少しましたが、stage IIIBでは有意な差が認められませんでした。

別のサブセット解析では、TS-1の服薬コンプライアンスと投与期間別の生存期間が検討されました。服薬コンプライアンス別の解析では、計画投与量(TS-1 80-120 mg/m2, 4週間投与2週間off)と比較して、70%未満の投与量になった群(64例)では、累積生存率が70%以上の群よりおとる傾向にありました。一方、投与期間別の解析では、TS-1を12か月服用できた群では、12か月未満しか服用できなかった群と比較して累積全生存率が良好な傾向にありました。12か月しっかり服用できた群での、計画投与量と実投与量の比率の内訳が不明であり、解釈が難しい内容です。サブセット解析から推測されるのは、副作用で服薬が中途でストップして12か月未満にならないよう注意すること、そのためには副作用のモニターをしっかりおこない、食欲不振や水様性下痢などが悪化した時点で4週間服用にこだわらず中途で休薬すること、副作用が出現しないぎりぎりの投与量や投与期間でコースを設定し、休薬期間をしっかりとって続けること、1コース目や2コース目は、副作用に注意して服薬できる期間や休薬が必要な期間を見定める期間にすることなどです。

ACTS-GCでは、臨床試験であるため残念なことにS-1の1年治療継続率が65.8%であり、副作用のため、TS-1を服用した患者の3分の1が途中で服薬を中止していました。臨床現場でも、治癒切除後の患者に、再発患者と同量の80-120 mg/bodyが4週間投与され、中途で副作用(食欲不振、水様性下痢、脱水など)が出現し投与継続が困難になる症例が多く見られます。繰り返しになりますが、臨床現場での対応は、臨床試験の投与量を杓子定規に投与することではなく、また4週間投与2週間offにこだわることではなく、有効性が示唆されているTS-1をいかに副作用が許容される範囲で、再発予防のために服用してもらうかという点になるでしょう。

2. UFT

pT2, pN1-N2でD2手術により治癒切除(根治度AあるいはB)が得られた進行胃癌を対象に、手術後の再発予防として、1日UFT 360 mg/m2を16ヶ月間服用することで、生存期間と無再発生存期間が手術単独群より改善するかどうかが検討されました(N-SAS-GC)。症例登録が遅延したため、UFT群190例、手術単独群190例で登録が終了されました。適格症例のUFT群93例、手術単独群95例が検討され、最終解析では、手術後UFTを16ヶ月服用すると5年生存率は86.%、手術単独では5年生存率は73.%となり、手術後にUFTを服用することで死亡リスクが52%低下することがわかりました(p=0.0166)。5年無再発生存率は、UFT群で85%、手術単独群は68%で、再発リスクは56%減少しました。

漿膜浸潤陰性のpN1あるいはpN2のstage II/IIIAの進行胃癌の治癒切除後の再発予防治療として、許容される治療と考えられます。

注意が必要なのは、今まで通常、臨床現場で投与されていたUFTの投与量よりも多い量となっていることです。N-SAS-GCでは、UFTは1日360 mg/m2が投与されており、1年治療継続率は60%以下となっています。副作用のため、患者の3分の1以上が服用を中断していることになります。臨床現場での対応は、臨床試験の投与量を杓子定規に投与することではなく、有効性が示唆されているUFTをいかに副作用が許容される範囲で、再発予防のために服用してもらうかという点になるでしょう。

3. XELOX:CLASSIC試験

stage II/III胃がんに対して、D2郭清後の術後補助化学療法として、XELOX療法を6ヶ月試行することの有用性を検討した、第III相臨床試験が行われています。

化学療法や放射線治療が未治療なstage II(T2N1,T1N2,T3N0), stage IIIA(T3N1,T2N2,T4N0)、stage IIIB(T3N2)の胃がん治癒切除後(D2郭清)の症例が、XELOX群あるいは経過観察群に無作為に割り付けられました。主要評価項目は3年無病生存期間、副次的評価項目は、全生存期間などでした。

韓国、台湾、中国から、XELOX群520例、手術単独群515例が登録され、stage II、stage IIIA、stage IIIB(T3N2)の内訳は、XEOLOX群で49/37/14%、手術単独群で51/36/13%でした。

中間解析では、3年無病生存率は、XELOX群で74%、手術単独群で60%となり、XELOX群で有意に改善しました(HR= 0.56、p<0.0001)。サブグループ解析では、ハザード比は、stage II、stage IIIA、stage IIIBで、0.55/0.56/0.57となり、いずれのステージでもXELOX群が良好でした。
中間解析であり、最終解析をまつ必要がありますが、stage II/III胃がんに対するD2郭清後の術後補助化学療法として、XELOX群は手術単独群と比較して、有意に無病生存期間を改善することが示されました。

3. 放射線化学療法
INT-0116試験(SWOG 9008)では、切除されたstage IB-IV胃がんを対象にして、術後に補助治療を行わない群(S群)と補助化学放射線療法を行う群(S+CXRT群)を比較する無作為化第III相臨床試験が行われました。603例が登録され、582例が2群に振り分けられS群277例、S+CXRT群282例が解析されました。化学放射線療法は、XRTは45Gy、5-FU/LV療法が施行されました。全生存期間の中央値は、S群で27か月、S+CXRT群で35か月となり有意にS+CXRT群で生存期間が延長していました(p=0.0051)。無病生存期間の中央値は、S群で19か月、S+CXRT群で27か月となり有意にS+CXRT群で延長していました(p<0.0001)。サブセット解析では、D0手術、intestinal type、男性で補助化学放射線療法を行うことで、有意に生存期間が延長していました。
日本とアメリカでは手術の質が違うこと、術後の成績がアメリカと日本では大きく異なることなどが背景にあり、この成績をそのまま受け取ることは難しいと考えられます。また、D0手術例で補助化学放射線療法が有効であるのは、日本で標準のD2手術を行えば切除されているはずの原発巣周囲の遺残がんに対して効果を発揮しているからであると解釈されます。
したがって、D2手術を標準術式としている日本では、化学放射線療法を行う意義はないであろうと考えられています。


4. 術前・術後化学療法

(1)Magic trial (ASCO 2005 abstract #4001)
切除可能なstage II以上の胃がんあるいは下部1/3の食道腺がんを対象にして、手術単独群(S群)と術前化学療法を試行後、手術を施行し、術後に再度化学療法を行う群(S+C群)で、成績を比較検討する臨床試験が行われました。化学療法はヨーロッパで標準的に施行されているECF療法(epirubicin: 50mg/m2 IV bolus day 1, cisplatin: 60 mg/m2 4-hr infusion day 1, 5-FU: 200 mg/m2/day continuous infusion day 1-21, q3W)で、術前に3サイクル、術後に3サイクル行うプロトコールでした。主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無再発生存、治癒切除率などでした。503例が登録され、S+C群250例、S群253例に振り分けられました。胃がんは全体の70%強でした。S群は253例のうち240例に手術が施行され、S+C群では250例中237例が術前に化学療法を施行され、215例(86%)が3サイクルの化学療法を終了しました。250例中219例に手術が施行されました。219例中137例(55%)のみが術後に化学療法を試行され、104例(42%)が3サイクルの化学療法を終了しました。S+C群のプロトコール完遂率はわずか42%でした。
全生存期間の中央値は、S群で20か月、S+C群で24か月となり、S+C群で有意に生存期間が延長していました(HR=0.75, p=0.009)。5年生存率はS群で23%、S+C群で36%でした。
術前・術後に化学療法を行うことで手術単独と比較して生存期間の改善が得られる報告ですが、化学療法のプロトコール完遂率が低いこと、手術後の合併症や死亡率が高いことから手術の質が担保されていないこと、5年生存率が日本と比較してあまりに低いことなど、単純に日本が参考にできる報告ではありません。
日本で主流のTS-1を基本としたプロトコールで、術前・術後化学療法の評価をする必要があります。術後化学療法は、ACTS-GCの結果を参照。

(2) FENCLCC and FFCD Phase III trial, JCO 29:1715

病理学的に腺癌と確認された、手術可能な下部食道がん、胃・食道接合部がん、噴門部がんを対象に臨床試験がおこなわれました。目的は、手術前・術後化学療法を施行することで、手術単独より全生存期間が延長するかどうかを検討することでした。
化学療法は、
術前にCisplatin 100 mg/m2 day 1, FU 800 mg/m2 for 5 days(28日毎)
2−3サイクル施行し、術後、同様のレジメを3-4サイクル施行する治療でした。

主要評価項目は、全生存期間でした。

224例の患者が登録され、術前・術後化学療法群(C+S群)113例、手術単独群111例に振り分けられました。C+S群は、113例が術前化学療法を施行され、実際に手術を受けた症例は109例で、術後化学療法を受けた症例は、54例でした。S群は111例が登録され、実際に手術を受けた症例は110例でした。

噴門部胃がんは、両群とも全体の約25%で、接合部がんが62-67%、食道がんが9-13%でした。C+S群では、113例中54例のみが術後化学療法を施行されました。

約5.7年の観察期間での解析では、5年生存率はC+S群は38%、S群は24%となり、C+S群で有意に生存期間が延長しました(HR=0.69、p=0.02)。5年無病生存率は、C+S群で34%、S群で19%となり、C+S群で有意に無病生存期間が延長しました(HR= 0.65、p=0.003)。

多変量解析では、生存期間に有意に影響を与える因子は、術前・術後化学療法、噴門部胃がんでした。また、術前化学療法はR0切除率を向上しました。

上記のことから、病理学的に腺癌と確認された、下部食道がん、接合部がん、噴門部胃がんでは、術前・術後化学療法が、全生存期間、無病生存期間、そしてR0切除率を向上することが示されました。



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