Version 2008.2
ポイント
生存期間の延長が「真の治療効果」になります。 生活の質の改善やがんの症状の改善が「第2の治療効果」になります。 腫瘍縮小は「みかけの治療効果」であり、真の効果ではありません。 腫瘍が増大したらその治療は効果がないのでしょうか?そんなことはありません。
治療効果の判定で、患者さまの受ける治療は大きく変わります。治療効果があると判断されれば、同じ治療が継続されます。治療効果がないと判断されれば、治療が変更されたり、治療そのものが終了され緩和治療が進められたりします。
つまり、間違った治療効果の判定は、患者さまの生活を大きく左右することになります。
以前は、腫瘍縮小が認められた場合、その治療は効果があると判断される例が非常に多く、腫瘍縮小が患者さまにとっての「真の治療効果である」かのように判断される時代がありました。
しかし、その後、A治療はB治療と比較して高い腫瘍縮小率が認められた場合でも、生存期間には差が認められない例が多く存在することがわかってきました。現在は、生存期間の延長が患者さまにとっての「真の治療効果」であり、どんなに高い腫瘍縮小効果がある治療であっても、生存期間の延長が認められない治療は認められなくなりました。
更に、生存期間の延長が認められない場合でも、生活の質の改善やがんの症状(たとえばがん性疼痛)の改善効果がある場合は、その治療は「第2の治療効果」があると判断され、治療として推奨される時代になってきました。
化学療法を受けている際は、画像検査が行なわれ、腫瘍の大きさが増大した場合は、「みかけの治療効果」がないと判断され、そのような治療は続けても「真の治療効果」は得ることができないとされます。つまり、別の治療への変更が行われます。これは、当然のように行われていますが本当に正しいのでしょうか?
最近になって、腫瘍の大きさが増大しても「真の治療効果」が得られることが報告されました。JCO 26: 183では、A治療あるいはB治療を行い、腫瘍縮小が認められなかった場合でも、同じ治療を続けたとき、A治療はB治療と比較して生存期間を延長することが報告されました。
つまり、化学療法中に画像検査で腫瘍が増大したからといって、その治療は効いていないと判断することが、必ずしも正しいとは限らないことを示唆します。
テーマ:ガン治療 - ジャンル:ヘルス・ダイエット
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