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Author:新板橋クリニック
平成18年4月1日東京都板橋区、都営地下鉄三田線新板橋駅より徒歩1分に、清水公一を院長として、新板橋クリニックを開設いたしました。
消化器・胃腸科、外科を中心に、一般内科、肛門科を診療いたします。生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)の診療を行い、身近なかかりつけ医(ホームドクター)として、また予防医学にも力を入れ、温かくわかり易い診療で近隣の皆さん方のお役に立てるように努力して参りたいと思っております。
がん治療(早期発見・診断、手術、化学療法、緩和医療)に長く従事していたことから、がん集学的治療を行う腫瘍センター(オンコロジーセンター)を併設いたしました。
また人間ドック、消化器がん専門ドックなどにも力をいれております。
検査設備としては、上部内視鏡検査(咽頭・喉頭・食道・胃・十二指腸)及び下部内視鏡検査(大腸)(いわゆる胃カメラ・大腸カメラ)、レントゲン透視、超音波検査(エコー検査)、心電図等充実させております。
院長や医師の豊富な経験をもとに、近年ご要望の多いセカンドオピニオン等のがん医療相談も予約制で行っておりますのでご相談ください。

医療理念

医者と患者という人間同士が、健康・病気を相談しながら共同で診ていくことを目指します。人を思いやり、安心と満足をもたらし、心身共に幸せにできる医療を目指して行きたいと思っています。

新板橋クリニック

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新板橋クリニックからのお知らせブログ、診療案内や、病気のお話など
胃癌治癒切除後の補助化学療法
治癒切除後の補助化学療法

新板橋クリニック

治癒切除後の補助化学療法
Version 2012.01

POINT
Stage II, Stage IIIA, Stage IIIBの場合、術後の再発予防として補助化学療法が推奨されます。

TS-1
UFT
Capecitabine

1. TS-1

Stage II/stage III胃癌では、手術単独治療と比較して、手術後にTS-1を1年間服用することで、死亡リスクが32%減少させることが、ACTS-GCで確認されました。

ATCS-GC studyでは、治癒切除を受けたstage II/stage III胃癌を対象に、TS-1を術後に投与することで、手術単独よりどの程度再発死亡が減少するかが検討されました。stage II, IIIで胃がん手術を受けた1059人の患者を対象に臨床試験が行なわれ、手術のみの群(530例)と手術後TS-1を1年間服用(80-120 mg/日を4週間投与、2週間休薬を繰り返す)する群(529例)に無作為に割り付け、全生存期間などが比較検討されました(ITT)。登録終了後1年経過後の中間解析では、TS-1群では、手術単独群と比較して、死亡リスクが32%減少することが明らかになりました。中間解析時の、手術後3年の全生存率は手術単独群で70.1%、TS-1投与群で80.1%でした(HR= 0.68 ,p=0.0024)。手術後3年の無再発生存率は、手術単独群で59.6%、TS-1投与群で72.2%でした(再発リスクを38%減少、HR= 0.62)。

JCO29:4387で報告された結果では、手術単独群とTS-1群を比較すると、手術後5年無再発生存率は、それぞれ53.1%と65.4%でした(再発リスクを35%低下、HR= 0.653)。手術後5年の全生存率はそれぞれ61.1%と71.7%でした(死亡リスクを33%低下、HR= 0.669)。

サブセット解析では、stage IIでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で82.1%、TS-1投与群で90.7%(死亡リスクを41%減少)でした。そして、手術後5年の全生存率は、手術単独群で71.3%、TS-1投与群で84.2%(死亡リスクを49%減少、HR=0.509 )でした。手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で64.4%、TS-1投与群で79.2%(再発リスクを48%減少、HR=0.521)でした。

Stage IIIAでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で62%、TS-1投与群で77.4%(死亡リスクを34%減少)、手術後5年の全生存率は、手術単独群で57.3%、TS-1投与群で67.1%(死亡リスクを29%減少、HR=0.708)でした。そして、手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で50.0%、TS-1投与群で61.4%(再発リスクを30%減少、HR=0.696)でした。

stage IIIBでは、手術後3年の全生存率は、手術単独群で62%、TS-1投与群で77.4%(死亡リスクを34%減少)、手術後5年の全生存率は、手術単独群で44.1%、TS-1投与群で50.2%(死亡リスクを21%減少、HR=0.791)でした。そして、手術後5年の無再発生存率は、手術単独群で34.4%、TS-1投与群で37.6%(再発リスクを21%減少、HR=0.788)でした。

Stage II/stage IIIAでは有意に死亡リスクが減少しましたが、stage IIIBでは有意な差が認められませんでした。

別のサブセット解析では、TS-1の服薬コンプライアンスと投与期間別の生存期間が検討されました。服薬コンプライアンス別の解析では、計画投与量(TS-1 80-120 mg/m2, 4週間投与2週間off)と比較して、70%未満の投与量になった群(64例)では、累積生存率が70%以上の群よりおとる傾向にありました。一方、投与期間別の解析では、TS-1を12か月服用できた群では、12か月未満しか服用できなかった群と比較して累積全生存率が良好な傾向にありました。12か月しっかり服用できた群での、計画投与量と実投与量の比率の内訳が不明であり、解釈が難しい内容です。サブセット解析から推測されるのは、副作用で服薬が中途でストップして12か月未満にならないよう注意すること、そのためには副作用のモニターをしっかりおこない、食欲不振や水様性下痢などが悪化した時点で4週間服用にこだわらず中途で休薬すること、副作用が出現しないぎりぎりの投与量や投与期間でコースを設定し、休薬期間をしっかりとって続けること、1コース目や2コース目は、副作用に注意して服薬できる期間や休薬が必要な期間を見定める期間にすることなどです。

ACTS-GCでは、臨床試験であるため残念なことにS-1の1年治療継続率が65.8%であり、副作用のため、TS-1を服用した患者の3分の1が途中で服薬を中止していました。臨床現場でも、治癒切除後の患者に、再発患者と同量の80-120 mg/bodyが4週間投与され、中途で副作用(食欲不振、水様性下痢、脱水など)が出現し投与継続が困難になる症例が多く見られます。繰り返しになりますが、臨床現場での対応は、臨床試験の投与量を杓子定規に投与することではなく、また4週間投与2週間offにこだわることではなく、有効性が示唆されているTS-1をいかに副作用が許容される範囲で、再発予防のために服用してもらうかという点になるでしょう。

2. UFT

pT2, pN1-N2でD2手術により治癒切除(根治度AあるいはB)が得られた進行胃癌を対象に、手術後の再発予防として、1日UFT 360 mg/m2を16ヶ月間服用することで、生存期間と無再発生存期間が手術単独群より改善するかどうかが検討されました(N-SAS-GC)。症例登録が遅延したため、UFT群190例、手術単独群190例で登録が終了されました。適格症例のUFT群93例、手術単独群95例が検討され、最終解析では、手術後UFTを16ヶ月服用すると5年生存率は86.%、手術単独では5年生存率は73.%となり、手術後にUFTを服用することで死亡リスクが52%低下することがわかりました(p=0.0166)。5年無再発生存率は、UFT群で85%、手術単独群は68%で、再発リスクは56%減少しました。

漿膜浸潤陰性のpN1あるいはpN2のstage II/IIIAの進行胃癌の治癒切除後の再発予防治療として、許容される治療と考えられます。

注意が必要なのは、今まで通常、臨床現場で投与されていたUFTの投与量よりも多い量となっていることです。N-SAS-GCでは、UFTは1日360 mg/m2が投与されており、1年治療継続率は60%以下となっています。副作用のため、患者の3分の1以上が服用を中断していることになります。臨床現場での対応は、臨床試験の投与量を杓子定規に投与することではなく、有効性が示唆されているUFTをいかに副作用が許容される範囲で、再発予防のために服用してもらうかという点になるでしょう。

3. XELOX:CLASSIC試験

stage II/III胃がんに対して、D2郭清後の術後補助化学療法として、XELOX療法を6ヶ月試行することの有用性を検討した、第III相臨床試験が行われています。

化学療法や放射線治療が未治療なstage II(T2N1,T1N2,T3N0), stage IIIA(T3N1,T2N2,T4N0)、stage IIIB(T3N2)の胃がん治癒切除後(D2郭清)の症例が、XELOX群あるいは経過観察群に無作為に割り付けられました。主要評価項目は3年無病生存期間、副次的評価項目は、全生存期間などでした。

韓国、台湾、中国から、XELOX群520例、手術単独群515例が登録され、stage II、stage IIIA、stage IIIB(T3N2)の内訳は、XEOLOX群で49/37/14%、手術単独群で51/36/13%でした。

中間解析では、3年無病生存率は、XELOX群で74%、手術単独群で60%となり、XELOX群で有意に改善しました(HR= 0.56、p<0.0001)。サブグループ解析では、ハザード比は、stage II、stage IIIA、stage IIIBで、0.55/0.56/0.57となり、いずれのステージでもXELOX群が良好でした。
中間解析であり、最終解析をまつ必要がありますが、stage II/III胃がんに対するD2郭清後の術後補助化学療法として、XELOX群は手術単独群と比較して、有意に無病生存期間を改善することが示されました。

3. 放射線化学療法
INT-0116試験(SWOG 9008)では、切除されたstage IB-IV胃がんを対象にして、術後に補助治療を行わない群(S群)と補助化学放射線療法を行う群(S+CXRT群)を比較する無作為化第III相臨床試験が行われました。603例が登録され、582例が2群に振り分けられS群277例、S+CXRT群282例が解析されました。化学放射線療法は、XRTは45Gy、5-FU/LV療法が施行されました。全生存期間の中央値は、S群で27か月、S+CXRT群で35か月となり有意にS+CXRT群で生存期間が延長していました(p=0.0051)。無病生存期間の中央値は、S群で19か月、S+CXRT群で27か月となり有意にS+CXRT群で延長していました(p<0.0001)。サブセット解析では、D0手術、intestinal type、男性で補助化学放射線療法を行うことで、有意に生存期間が延長していました。
日本とアメリカでは手術の質が違うこと、術後の成績がアメリカと日本では大きく異なることなどが背景にあり、この成績をそのまま受け取ることは難しいと考えられます。また、D0手術例で補助化学放射線療法が有効であるのは、日本で標準のD2手術を行えば切除されているはずの原発巣周囲の遺残がんに対して効果を発揮しているからであると解釈されます。
したがって、D2手術を標準術式としている日本では、化学放射線療法を行う意義はないであろうと考えられています。


4. 術前・術後化学療法

(1)Magic trial (ASCO 2005 abstract #4001)
切除可能なstage II以上の胃がんあるいは下部1/3の食道腺がんを対象にして、手術単独群(S群)と術前化学療法を試行後、手術を施行し、術後に再度化学療法を行う群(S+C群)で、成績を比較検討する臨床試験が行われました。化学療法はヨーロッパで標準的に施行されているECF療法(epirubicin: 50mg/m2 IV bolus day 1, cisplatin: 60 mg/m2 4-hr infusion day 1, 5-FU: 200 mg/m2/day continuous infusion day 1-21, q3W)で、術前に3サイクル、術後に3サイクル行うプロトコールでした。主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無再発生存、治癒切除率などでした。503例が登録され、S+C群250例、S群253例に振り分けられました。胃がんは全体の70%強でした。S群は253例のうち240例に手術が施行され、S+C群では250例中237例が術前に化学療法を施行され、215例(86%)が3サイクルの化学療法を終了しました。250例中219例に手術が施行されました。219例中137例(55%)のみが術後に化学療法を試行され、104例(42%)が3サイクルの化学療法を終了しました。S+C群のプロトコール完遂率はわずか42%でした。
全生存期間の中央値は、S群で20か月、S+C群で24か月となり、S+C群で有意に生存期間が延長していました(HR=0.75, p=0.009)。5年生存率はS群で23%、S+C群で36%でした。
術前・術後に化学療法を行うことで手術単独と比較して生存期間の改善が得られる報告ですが、化学療法のプロトコール完遂率が低いこと、手術後の合併症や死亡率が高いことから手術の質が担保されていないこと、5年生存率が日本と比較してあまりに低いことなど、単純に日本が参考にできる報告ではありません。
日本で主流のTS-1を基本としたプロトコールで、術前・術後化学療法の評価をする必要があります。術後化学療法は、ACTS-GCの結果を参照。

(2) FENCLCC and FFCD Phase III trial, JCO 29:1715

病理学的に腺癌と確認された、手術可能な下部食道がん、胃・食道接合部がん、噴門部がんを対象に臨床試験がおこなわれました。目的は、手術前・術後化学療法を施行することで、手術単独より全生存期間が延長するかどうかを検討することでした。
化学療法は、
術前にCisplatin 100 mg/m2 day 1, FU 800 mg/m2 for 5 days(28日毎)
2−3サイクル施行し、術後、同様のレジメを3-4サイクル施行する治療でした。

主要評価項目は、全生存期間でした。

224例の患者が登録され、術前・術後化学療法群(C+S群)113例、手術単独群111例に振り分けられました。C+S群は、113例が術前化学療法を施行され、実際に手術を受けた症例は109例で、術後化学療法を受けた症例は、54例でした。S群は111例が登録され、実際に手術を受けた症例は110例でした。

噴門部胃がんは、両群とも全体の約25%で、接合部がんが62-67%、食道がんが9-13%でした。C+S群では、113例中54例のみが術後化学療法を施行されました。

約5.7年の観察期間での解析では、5年生存率はC+S群は38%、S群は24%となり、C+S群で有意に生存期間が延長しました(HR=0.69、p=0.02)。5年無病生存率は、C+S群で34%、S群で19%となり、C+S群で有意に無病生存期間が延長しました(HR= 0.65、p=0.003)。

多変量解析では、生存期間に有意に影響を与える因子は、術前・術後化学療法、噴門部胃がんでした。また、術前化学療法はR0切除率を向上しました。

上記のことから、病理学的に腺癌と確認された、下部食道がん、接合部がん、噴門部胃がんでは、術前・術後化学療法が、全生存期間、無病生存期間、そしてR0切除率を向上することが示されました。



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