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胃・食道逆流症
新板橋クリニック消化器センター
胃・食道逆流症
Version 2012.4

下記のことで、「苦しい」「つらい」「なんとかならないか?」と悩んでおられませんか?

 げっぷが頻回にでる
 口の中がすっぱい
 舌がしびれている
 のどがひりひりする、いがいがする
 のどにつまった感じがしている
 食べ物がのどにつかえる
 胸が焼けるようにちりちり痛む
 胸が苦しくなる
 呼吸が苦しくなる
 すっぱいものがあがってくる
 背中が痛くなる
 胃がはって苦しい

胃・食道逆流症かもしれません。

胃・食道逆流症は、逆流性食道炎「食道炎型」と非食道炎「NERD(ナード)型」の2つのタイプに分かれます。そして、内視鏡検査でタイプわけ診断をして治療を行います。胃粘膜の委縮がないか?ピロリ菌感染がないか?食道裂孔ヘルニアがないか?内視鏡で見て食道炎がないか?咽頭・喉頭炎がないか?の確認を行います。

「食道炎型」は、喉頭炎があることが多く、食道裂孔ヘルニアがあり、そして、内視鏡で食道炎を認めます。患者は年齢的に40歳以上が多い傾向にあります。
一方、非食道炎(ナード型)は、喉頭炎を認めず、食道裂孔ヘルニアがなく、そして、内視鏡で食道炎を認めません。また萎縮性胃炎がなくピロリ菌感染がありません。



逆流性食道炎(食道炎型)


逆流性食道炎(食道炎型)は今注目されている病気です。近年食事の欧米化が進み増えてきました。胃酸が逆流して、食道の粘膜を傷つけることによって、「胸やけ」や、のどの違和感、酸っぱいものがあがってくる、げっぷなどの症状が出ます。

食道は胃酸を防御する機能がないために、胃酸の逆流が繰り返されると炎症が起きてしまいます。欧米では、成人の約40%が逆流性食道炎ではないかと言われています。日本でも成人の20%近くが逆流性食道炎ではないかと推測されています。「胸やけ」の症状を感じたときは、食道が炎症になっているかもしれませんので、早期に受診し治療を受けることをお勧めします。

□ 逆流性食道炎(食道炎型)とは

通常いくつかの原因が重なって、引き起こされます。

逆流性食道炎1


食道と胃のつなぎ目の部分は、食道下部括約筋と呼ばれる筋肉が弁の働きをして、胃の中のものが逆流しないようになっていますが、いろいろな原因で弁の働きが弱くなったり、加齢とともに弁の働きが弱くなったり、胃の手術などで逆流しやすい環境になってしまうことから逆流が起こります。弁の働きをしている穴を「食道裂孔」といい、裂孔がゆるむと胃の一部が食道の方へ持ち上がって、「食道裂孔ヘルニア」という状態になってしまい、さらに胃酸が逆流しやすい状態になってしまいます。

逆流性食道炎2


逆流性食道炎3


また胃炎や胃潰瘍などによって胃の働きが弱まり、食道へ逆流してきた胃酸を胃に戻せなくなって起こすこともあります。
近年、逆流性食道炎の方は増加してきていますが、その原因としてさまざまなことが挙げられています。

 胃酸の量が多い方(ピロリ菌保有者が減っており、胃酸の分泌量が多い方)が増えている
 外食が多く不規則な生活をする方が増えている
 食事が欧米化して、脂肪分が多い食事をするようになり胃酸分泌を刺激している
 食べすぎの方は胃内圧が上昇し、逆流しやすい
 姿勢が悪い(デスクワークの方)が増えている
 肥満が増えている
 タバコやアルコールがよくない
 腰が曲がってくの字になると胃が圧迫されて逆流しやすい
 ストレスがよくない
 睡眠時無呼吸の方はなりやすい
 夜遅い時間に、腹いっぱいの食事をするのがよくない

以上のことが原因となって、逆流性食道炎がおこるといわれています。上記がいくつも当てはまる方は、改善が必要です。

□ 症状はさまざまです
 胸やけ
 酸っぱいものが上がってくる
 胸がちりちり痛む
 げっぷがでる
 食べ物が胸につかえる
 のどがいがいがする
 声がかすれる
 咳がつづく
 吐き気
 胸の痛み(胸痛)
 背中の痛み
 血痰がでる

上記はすべて逆流性食道炎の症状です。のどから胸にかけて焼けるような症状、胸の痛みがある場合や、のどに酸っぱい水(胃酸)が上がってくることがあります。下を向いたときや、食べ過ぎた後や就寝後に症状が出るのも特徴です。ひどくなると、食べ物のつかえ感、胸痛や持続出血による貧血になることもあります。長く続く咳の原因が逆流性食道炎だったということもあります。
症状から逆流性食道炎が疑われたら、食道がんの有無、食道裂孔ヘルニアの有無、食道炎の程度を診断するために、内視鏡検査が必要です。

□ 逆流性食道炎の予防
胃内容物、胃酸の逆流をさせないことが一番の予防になります。生活習慣・食事習慣と関連しています。肥満をともなっている方の場合、最も有効な手段は、夜6時以降に食事をとらないこと、朝と昼の1日2食にすること、減量すること、になります。

 一度に食べ過ぎないこと
 消化の悪いもの(油こいもの・イモ類など)を食べすぎず、腹八分目を心がけましょう
 食後すぐに横にならず、就寝前の食事はとらないようにしましょう
 禁煙しましょう
 アルコール摂取をへらしましょう
 脂肪分の少ない食事を心がけましょう
 週2回以上の運動をして、内臓脂肪を減らし、肥満を解消することが大事です
 姿勢を良くしてすごしましょう
 ベルトやガードルで腹部を締め付けることは、できるだけさけましょう
 寝た後で症状の強くなる人は上体を高くして休むと良いでしょう


□ 逆流性食道炎の治療

薬物療法
胃酸分泌抑制薬が有効で、99%の方は、服薬することで症状が改善します。

(1) 胃酸の分泌を減らす薬
プロトンポンプ阻害剤(PPI)
ヒスタミン受容体拮抗剤(H2-blocker)

(2) 食道粘膜を保護する薬
マーロックス細粒
アルロイドG

(3)消化管運動改善薬
ガスモチン

(4) 漢方製剤

(5) 外科治療
薬物治療にて改善が見られない症例、逆流性食道炎の高度な例、狭窄をきたす例などは外科治療の適応になることがあります。

現在は効果的な薬が開発されています。早く治療を開始することが何よりも大切です。


非食道炎「NERD」(ナード型)



非食道炎(ナード型)は、喉頭炎を認めず、食道裂孔ヘルニアがなく、そして、内視鏡で食道炎を認めません。また萎縮性胃炎がなくピロリ菌感染がありません。内視鏡検査で異常を認めないにもかかわらず症状を認めることが特徴です。

20歳代から40歳代にかけて増加しており、また60歳以降の定年を迎えた方にも増加しています。

胃酸の逆流が認められないにも関わらず、症状が認められるため、治療に難渋するタイプです。通常の治療(胃酸分泌抑制薬など)では、症状が改善せず、また、さまざまな症状が出現して持続するため、「つらい」「苦しい」「なんとかならないか」と悩まれる方が多いタイプです。

□ なぜ症状がおこるのでしょう?

胃酸の逆流が認められないにも関わらず症状が出現するため、現代科学(西洋医学)では、症状がおこる理由を明確に説明できません。しかし、状況証拠と脳科学の進歩である程度のことがわかってきました。
それは、
 胃酸以外のものが逆流している
 「何か」が逆流している
 頭脳労働者に多い
 特に、VDT作業者(パソコンを使って仕事をする人)
 頭であれこれ考えるくせの人
 比較基準・価値基準が固定され、認識する脳のくせの人

ということです。

脳科学的に説明できることは、大脳皮質(新皮質)を酷使すると、脳細胞が疲れてしまうことです。そして、脳内物質(セロトニンやメラトニンなど)が枯渇してきます。大脳皮質の使いすぎは、更に交感神経の緊張を引きおこします。脳細胞の酷使・疲労、脳内物質の枯渇、交換神経の緊張で、ナード型症状が起こってくることがわかってきました。

一方、東洋医学では、ナード型の症状が2000年以上前から知られており、症状の起こる理由が明確に説明されています。

 何かとは「気」である
 「気」がうっ滞、逆流している

緊張・不安・怒りなどの感情などをひき起こす「脳」の認識のくせが、身体のくせ・反応を引き起こすことが観察されています。「気」がうっ滞し、逆流すると、身体の感覚は、何かが逆流すると感じて、症状が出現します。「気」のうっ滞・逆流は、臍の上でおこることが観察されており、インドではチャクラ、中国では、経絡秘孔でしられています。

そこで、現代科学と東洋科学を融合させて、ナード型の症状の原因を解説すると、

 VDT(パソコン関係)の仕事を長時間するため大脳皮質(脳細胞)が疲労する
 固定化された観点・価値基準から、自分と他人を区別して、比較・評価することで、緊張・不安・怒りなどを生み出す「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する
 あれこれ頭で考えて、考えていることがとまらない、「脳のくせ」で大脳皮質が疲労する

そして、
 大脳皮質が疲労すると、脳内物質が枯渇してくる

そして、
 交感神経が過緊張する

そして、
 「気」が臍の上でうっ滞・逆流する
 臍の上から胃、胸、のど、頭まで逆流する
 「気」の逆流を、感覚で感じるので、逆流症状がでてくる

という理屈になります。

□ 症状はさまざまです

「気」が、臍の上から頭にむかって、うっ滞・逆流するので、さまざまな症状を感じます。

 おなかがはる
 胃がもたれる
 胃がはる
 胃が苦しい
 気持ちわるい
 あがってくる感じがする
 胸やけ
 酸っぱいものが上がってくる
 胸がちりちり痛む
 げっぷがでる
 食べ物が胸につかえる
 胸が苦しい
 胸がちりちりする
 胸が痛い
 背中が痛い
 のどに何かがつまっている
 のどがきゅーーとしめられる
 のどがいがいがする
 声がかすれる
 血痰がでる
 夜眠れない
 頭痛
 頭がぼっとする

□ ナード型は胃酸分泌抑制薬ではよくなりません

ナード型では、胃酸の分泌を減らす薬では症状が改善しない例がほとんどです。なぜなら、胃酸が逆流しているのではないからです。そのため、「気」のうっ滞・逆流を改善する治療を行います。


□ ナード型の治療

(1) 薬物療法
(ア) 胃酸の分泌を減らす薬
プロトンポンプ阻害剤(PPI)
ヒスタミン受容体拮抗剤(H2-blocker)
(イ) 消化管運動改善薬
ガスモチン
(ウ) 漢方製剤(主体となります)
(エ) 安定剤(時に必要となります)

(2) 大脳皮質を疲労させない

大脳皮質の疲労を避けることが必要です。VDT関連の仕事の方は、1時間に1回休憩をとること、画面から眼を離すこと、席をたつこと、身体を動かすこと、体操することが必要です。なぜなら、身体を動かして、体の感覚に気を配ることは、旧皮質(古い脳)を使ってやり、大脳皮質が休息をとることができるからです。

(3) 脳のくせに気づく
脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労を少なくすることができます。
脳のくせは、常に
部分だけをとるくせ(全体をみようとしません)
違いだけをとるくせ(共通部分をみようとしません)
過去とつなげるくせ(都合のいい部分をつなぎ合わせて意味づけします)

をしています。そして、判断基準、価値基準を作って、比較・評価をするので、緊張・不安・怒りなどの感情を無意識に行うようになります。無意識でおこなっている脳のくせに気づくことで、大脳皮質の疲労が少なくなります。

(4) 大脳皮質を休息させる体操
人は、いろいろなことを一生懸命大脳皮質を使って考えています。これは「非現実」です。一方身体の感覚は、「現実」です。現実の時間を増やすことで、大脳皮質の疲労を減らすことができます。身体の感覚を感じる体操をすることが有効です。

□ まとめ

漢方治療は、ナード型には非常に有効です。漢方治療を続けながら、大脳皮質を疲労させない習慣、練習をすると、ナード型は良くなっていきます。

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